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会陰ってどこ?会陰切開とは?

2025.04.18|コラム

出産と会陰のケア

出産という大仕事に向けて、ママの身体は大きな変化を遂げます。中でも赤ちゃんが通る「会陰(えいん)」は大きな負担がかかる部位であり、正しい知識と準備が必要です。最近はフェムケア・フェムテックの関心も高まり、出産時の会陰ケアに注目が集まっています。ここでは、会陰の基礎知識から切開の判断基準、予防のためのケア方法までご紹介します。

1. 会陰とはどこ?

会陰とは、腟と肛門のあいだの部位を指します。この距離は一般的に2〜3cmですが、1cmしかない人から、4〜5cmある人まで個人差があります。
距離が短い人は赤ちゃんが出るときに裂けやすいため、出産時のリスクが高くなる傾向があります。これは身体のつくりによるため、変えられるものではありません。

2. 会陰切開とは?

会陰切開とは、赤ちゃんの頭が出るときに医療用のハサミで会陰や腟壁を切開する医療処置です。以下のようなケースで必要とされます。

  • 会陰が十分に伸びない
  • 大きな裂傷が予測される
  • 赤ちゃんの心拍が下がるなど、一刻を争う状況

病院によっては初産婦を原則的に会陰切開する方針のところもあります。一方、助産院では医療行為ができないため、切開は行わず、裂けた場合には応急処置を施すことが多いです。

3. 会陰切開の判断基準

会陰切開をするかどうかは、出産時の医師の判断によります。事前にバースプランで希望を伝えることもできますが、状況によっては安全のために行われることがあります。以下のようなケースが主な判断基準です。

  1. 会陰の伸びが悪く、分娩時間が長くなりそうなとき
  2. 前回の切開部位に癒着や硬さがあるとき
  3. 赤ちゃんの体重が重く(3500g以上)、裂傷が予測されるとき
  4. 赤ちゃんの心拍が低下し、早急な分娩が必要なとき
  5. 母体の状態が急変しそうなとき
  6. 無痛分娩や吸引・鉗子分娩のとき

切開の際は局所麻酔が使用されるため、痛みは最小限に抑えられます。

4. 会陰切開の種類

会陰切開にはいくつかの方法があり、目的やリスクに応じて選ばれます。

  • 正中切開法
     肛門に向かってまっすぐ切開。出血や腫れが少ないが、肛門括約筋を傷つける可能性がある。
  • 正中側切開法(最も一般的)
     肛門括約筋に沿って斜めに切開。伸展効果が高く、安全性が比較的高い。
  • 側切開法
     会陰の側方から坐骨に向けて斜めに切開。拡張効果は低め。

5. 会陰切開を予防するために

会陰切開や裂傷を防ぐには、保湿と運動が大切です。日常的なケアとして以下の方法があります。

  • 保湿ケア
     ホホバオイル、アーモンドオイル、カレンデュラオイルなど、植物由来の安全なオイルで保湿。お風呂上がりにコットンで塗布したり、マッサージをすることで、皮膚の柔軟性が高まります。シートタイプのアイテムも便利です。
  • マタニティスイミング
     特に平泳ぎや「出産泳法」は、股関節を開く動作が多く、自然と会陰のマッサージ効果が得られます。水の圧力と流れにより1時間のスイミングが会陰マッサージと同等の効果をもたらします。

保湿と運動を並行して行うことで、裂傷のリスクを大幅に減らすことができます。

最後に

会陰切開は「怖いもの」「できれば避けたいもの」と感じるかもしれませんが、母子の安全を第一に考えた医学的処置です。とはいえ、できるだけ自然な分娩を望む場合は、早めに助産師や医師に相談し、自分に合った出産方法を選びましょう。知識と準備があれば、不安は少しずつ軽くなっていきます。